痛みがぶり返す「本当のタイミング」とは?

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2026/02/09

「もう治ったと思っていたのに、また痛くなった」 外傷後の患者さんから、非常によく聞く言葉です。実は、痛みがぶり返すのには決まった“タイミング”と理由があります。それは単なる使いすぎや年齢のせいではありません。 まず知っておきたいのは、痛みの消失=回復完了ではないという事実です。ケガ直後の炎症や腫れが引くと、多くの人は「治った」と判断します。しかしその段階では、筋肉・関節・神経の連携はまだ不完全なことが多く、体は“かばいながら動いている状態”です。 痛みがぶり返しやすいタイミングの一つ目は、動きが元に戻り始めた時です。日常動作や運動量が増えることで、無意識の代償動作が表面化し、特定の部位に負担が集中します。特に足首の捻挫後に膝や腰が痛くなるケースは典型例です。 二つ目は、安心した頃です。痛みが落ち着くと、体は警戒モードを解除します。その結果、今まで抑えていた可動域やスピードで動けるようになり、準備が整っていない部位に刺激が一気に入ります。これは「再発」ではなく、回復途中で露呈した問題と言えます。 三つ目は、自律神経が疲弊したタイミングです。仕事や睡眠不足、季節の変わり目などが重なると、脳の痛み抑制機能が低下します。その結果、以前は気にならなかった違和感が「痛み」として再浮上します。これは構造の問題というより、神経の回復遅延が関係しています。 つまり、痛みのぶり返しは「失敗」ではありません。体が次の回復段階へ進もうとしたサインでもあります。大切なのは、そのタイミングで無理に我慢したり、逆に完全に動かなくなることではなく、回復の順番を整えることです。 当院では、外傷後の評価として関節や筋肉だけでなく、神経の興奮状態や左右差、動作の質まで確認します。痛みが出た“場所”ではなく、“なぜそのタイミングで出たのか”を見極めることが、慢性化を防ぐ鍵になるからです。 「また痛くなった=治っていない」と不安になる前に、体が何を伝えようとしているのか。一度立ち止まって考えることが、結果的に一番の近道になることも少なくありません。