2025/10/24
「深呼吸しても胸が広がらない」「呼吸が浅くて疲れやすい」 そんなお悩みを感じたことはありませんか? その原因、実は肋骨の動きの悪さにあるかもしれません。 呼吸というと、肺が動いて空気を出し入れしているイメージが強いですが、実際に“動いている”のは肋骨と胸郭です。 肺自体は自ら動くことができないため、肋骨が上下に広がることで、肺に空気を取り込むスペースをつくっています。 つまり、肋骨が硬くなると、呼吸そのものの質が落ちてしまうのです。 胸郭は12対の肋骨と胸椎、そして胸骨によって構成されています。 その動きには主に2つのパターンがあり、 ・上部肋骨は「ポンプハンドル運動」(前後方向の動き) ・下部肋骨は「バケットハンドル運動」(横方向の動き) と呼ばれています。 この2つの動きがスムーズに行われることで、胸郭が立体的に広がり、深く安定した呼吸が可能になります。 しかし、長時間のデスクワークや猫背姿勢、ストレスによる浅い呼吸が続くと、胸郭周囲の筋肉(肋間筋・斜角筋・小胸筋など)が硬くなり、肋骨の可動性が低下します。 その結果、呼吸が浅くなり、酸素供給が減少。 自律神経のバランスも乱れやすく、疲労感・頭痛・肩こり・集中力低下といった不調を引き起こします。 機能神経学的に見ると、呼吸のリズムは脳幹の「呼吸中枢」と深く関係しています。 胸郭の動きが改善すると、呼吸のリズムが整い、副交感神経が優位になりやすくなります。 つまり、胸郭の柔軟性を取り戻すことは、神経系を整え、心身のリラックス状態を作り出すことにもつながるのです。 整体では、胸郭のモビリゼーション(関節調整)や肋骨のリリース、横隔膜のアプローチを行い、呼吸の可動域を回復させます。 胸が自然に広がるようになると、姿勢も整いやすくなり、体幹の安定性も向上します。 ご自宅でできるケアとしては、 ・両手を頭の後ろで組み、深呼吸をしながら肋骨を意識的に広げる ・ストレッチポールの上で胸を開く ・口すぼめ呼吸でゆっくり息を吐き切る といったエクササイズが効果的です。 呼吸は「生命活動の基本」であり、「姿勢」「自律神経」「循環機能」とも密接につながっています。 もし最近「息が浅い」「寝ても疲れが抜けない」と感じる方は、まず胸郭の柔軟性に目を向けてみてください。 肋骨が動けば、呼吸も、そして体全体の調子も大きく変わります。